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店舗内装の坪単価はいくら? 費用目安とコスト最適化のコツ

店舗の新規開業や大規模な改装を計画する際、経営者が最も頭を悩ませるのが「内装費用」です。総額の見積もりはもちろん大切ですが、本当に予算をコントロールし、失敗のない投資を行うためには「坪単価」という指標を深く理解する必要があります。


この記事では、坪単価の定義や計算方法、費用を左右する要因、そしてコストを抑えつつ質を高めるためのポイントを詳しく解説します。予算内に理想の店舗を実現するヒントを見つけてください。

坪単価とは? 店舗内装の基礎知識

店舗の内装工事における坪単価とは、「1坪(約3.3㎡ )あたりにかかる内装工事費用の目安」のことです。これは、費用を店舗の規模で割ることで、デザインや設備グレードのレベル感を比較するための重要な指標となります。

坪単価の計算式と含まれる費用の範囲

計算式は以下の通りです。


坪単価 = 総工事費 ÷ 店舗面積(坪)


たとえば総工事費が1,200万円、店舗面積が40坪の場合、坪単価は30万円/坪となります。そして、この「総工事費」には、主に以下の費用が含まれます。

  • 内装本体工事費(床、壁、天井の仕上げ、間仕切り、造作家具など)
  • 設備工事費(電気、空調、給排水、換気、ガスなど)
  • デザイン・設計監理費(業者への報酬)
  • 諸経費(申請費用、運搬費など)


ただし、法規制対応費や既存設備の撤去費は別途発生する場合もあるため、見積もり時に範囲を確認しておきましょう。

坪単価は「指標」として理解する

坪単価は、単なる費用の平均値ではありません。むしろ、その店舗の内装における「デザインレベル」や「設備グレード」を示す指標として活用するとよいでしょう。


たとえば、飲食店で坪単価が60万円であれば、そのうち20万円は厨房設備、10万円は給排水・換気、残りの30万円が内装や造作に使われている、といった内訳をイメージできるようになります。この内訳を理解することで、費用対効果の高い予算配分が可能になるのです。

【店舗内装】業態・物件別の坪単価

内装工事の坪単価は、業態や物件の状態(スケルトンか居抜きか)によって大きく変動します。特に、水や火を使う設備工事の比重が高い業態ほど高くなる傾向があります。

業態坪単価目安(幅)主なコスト要因
飲食店(重飲食)80万~200万円/坪厨房、給排水、排気設備、電気容量増設
美容室30万~60万円/坪シャンプー台、水回り、鏡面造作、特殊な電気工事
物販店(アパレルなど)30万~60万円/坪照明計画、陳列用棚やカウンターなどの特注什器
クリニック70万~150万円/坪医療機器対応、衛生管理基準、間仕切り(X線室など)


ここではカフェなどの軽飲食は除き、煙や油がよく出る重飲食を例に出しています。


【物件状態(スケルトン/居抜き)による違い】

物件状態坪単価への影響特徴と注意点
スケルトン比較的高くなる自由度は高いが、内装・設備を一から作るため初期費用は高い。
居抜き比較的小さくなる既存設備を活かせば安くなるが、老朽化設備の修繕やコンセプトに合わない内装の撤去費用が発生する可能性がある。



上記の坪単価はあくまで目安です。同じ50万円/坪の物販店でも、高級な天然木材を多用すれば設備は簡素になり、既製品で統一して照明設備に費用を集中させれば、坪単価に含まれるデザイン性は大きく異なります。


重要なのは、自分の事業に必要な設備とデザインに適切に費用を割り振れているか、そして相場から大きく外れる理由について理解することです。

坪単価を左右する主な要因

内装工事の坪単価が高騰する要因は、内装のデザインそのものよりも、むしろ設備と契約条件にあることがほとんどです。ここでは、坪単価の変動を決定づける主要因を3つ解説します。

要因①:工事区分(A・B・C工事)のコストインパクト

内装工事費用が想定外に膨らむ最大の原因の一つが、ビルオーナーやデベロッパーとの契約に基づく工事区分です。

工事種類内容
A工事(オーナー負担)建物の構造など、オーナーの資産に係る工事です。
B工事(テナント負担だがオーナー指定業者)建物全体の維持管理に必要な共用部分に近い工事です。費用はテナント負担ですが、業者選定権がなく、コストが高くなりがちです。
C工事(テナント負担かつテナント選定業者)純粋な内装工事です。費用も業者もテナント側がコントロールできます。


テナント側がコントロールできるのはC工事の坪単価のみです。B工事の範囲が広いと、内装の華やかさとは関係なく坪単価全体が跳ね上がってしまいます。B工事をC工事に振り替えられるかどうかの交渉が、坪単価を抑えるうえで極めて重要です。

要因②:設備費の比重と法規制対応

厨房や給排水、電気、空調などの設備工事費は、業種によって坪単価全体の3〜5割を占めることもあります。特に飲食店では、消防法や保健所の基準を満たすための設備追加が必要になり、想定以上のコストが発生しやすい点に注意が必要です。初期費用だけでなく、将来的なメンテナンス性や省エネ性も考慮し、長期的なコスト最適化を意識しましょう。

要因③:素材・造作の選び方と居抜き物件の落とし穴

店舗内装では、どんな素材を使うか、どこまで造作するかによって坪単価が大きく変わります。たとえば同じ10坪のカフェでも、カウンターを無垢材で造作するのか、既製品を設置するのかで数十万円単位の差が出ます。壁材や床材も同様で、デザイン性の高いタイルや天然素材はコストがかかりますが、メラミン化粧板などを上手に組み合わせれば見た目を保ちながらコストを抑えることも可能です。


また、居抜き物件の改装も注意が必要です。前のテナントが残した内装や設備が自社のコンセプトに合わない場合、それを撤去する「産廃費用」が発生します。また、見た目は使えるように見えても、配管や空調が老朽化している場合、結局高額な修繕や入れ替えが必要となり、結果的にスケルトンよりも高い坪単価になるケースもあります。

坪単価を抑えつつ質を保つ戦略

坪単価を抑えながら質を維持する方法をみていきましょう。

メリハリをつける

すべての壁や床に高額な素材を使う必要はありません。集客と顧客体験に最も直結する「見せ場」に費用を集中させましょう。

コスト集中箇所店舗のファサード(看板や入口周り)、レジカウンター、客席の一部のアクセントウォールなど。
コストダウン箇所スタッフ専用エリア、バックヤード、目に触れにくい壁面や床の一部。


また、設備投資は初期の坪単価だけでなく、長期的な運用コストを含めて判断しましょう。高性能な設備は初期費用が高くても、長期的な電気代削減につながり、総コストで見れば割安になることがあります。

B工事を交渉する

坪単価を最も効果的にコントロールできるのが、「B工事の範囲交渉」です。オーナー指定の業者が担当するB工事は高くなりがちですが、その一部をテナント側が自由に発注できるC工事に振り替えることでコスト削減が可能です。


弊社バイソンでは、店舗の内装設計から施工、コスト調整まで一貫対応しており、テナントとオーナーの間に立って、工事項目の見直しや見積調整のサポートも行っています。

設計・施工一体型のメリットを活用する

設計と施工の業者を分けると、仕様の決定が遅れたり、設計通りに施工できない場合の手戻りコストが発生しやすく、これが坪単価の上昇につながります。


一方で、バイソンのように設計・施工一貫体制をとる業者なら、設計段階から坪単価を意識した計画が可能です。無駄のない提案とスムーズな工事進行で、コストを抑えながら理想の店舗づくりを実現できます。

まとめ

店舗内装の坪単価は、工事区分・設備費・素材選定といった複数の要因で変動します。特に、B工事の交渉やメリハリのある設計を意識することで、費用を抑えつつ質を保つことが可能です。


坪単価を単なる費用ではなく「売上につながる投資」として捉えることが、成功のポイントです。店舗の規模や条件に合わせた最適な内装計画は、ぜひバイソンにご相談ください。お客様の目標とする坪単価とコンセプトに基づき、予算内で理想の店舗づくりを実現するための最適なプランをご提案します。

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