

プロが解説! 成果を出す店舗内装設計のステップと重要ポイント

店舗をオープン・改装するときに欠かせないのが「内装設計」です。見た目のデザインだけでなく、動線やレイアウト、照明や素材の選び方まで、売上や集客を左右する大事な要素が詰まっています。しかし、実際に設計を進めようとすると「どこに依頼すればいいの?」「設計料はどれくらいかかる?」「失敗しないためのポイントは?」と疑問が尽きません。
そこで本記事では、プロの視点から店舗内装設計の進め方と重要なチェックポイント、コスト戦略を解説します。これから開業を考えている方はもちろん、既存店のリニューアルを検討している方もぜひ参考にしてください。
店舗内装設計の進め方3ステップ

店舗内装設計は、来店客の快適さやスタッフの効率を考慮しないと「使いにくい」「予算超過」といったトラブルにつながります。理想の店舗を効率的に実現するために、次の3つのステップで順を追って整理しましょう。
ステップ1:コンセプト設計
店舗内装設計で最初に行うべきは「コンセプトの明確化」です。多くのオーナーは「おしゃれなお店にしたい」「居心地のよい空間をつくりたい」と考えますが、内装はあくまでも手段であって目的ではありません。まずは事業そのものの方向性を整理することが大切です。
たとえば、同じカフェでも「長時間滞在してもらうブックカフェ」と「回転率を重視するテイクアウト中心のカフェ」では、必要となるレイアウトや座席配置が大きく異なります。そのため、ターゲット顧客の行動ペルソナを設定し、どのような利用シーンを想定するのかを明確にしておきましょう。
また、この段階で資金計画もセットで考え、工事費と運転資金のバランスを誤らないことが重要です。開業後のランニングコストも含め、無理のない予算を組みましょう。
ステップ2:依頼先の選定と基本設計
コンセプトと資金計画が固まったら、次に依頼先を決めます。店舗内装を依頼できる先には、設計事務所・工務店・デザイン会社などがあり、それぞれ得意分野や契約形態が異なります。
| 依頼先 | 特徴 |
| 設計事務所 | デザイン性や空間コンセプトを重視した提案が得意 |
| 工務店 | 施工の実務に強く、工事コストを抑えやすい |
| デザイン会社 | デザインから施工までワンストップで対応可能 |
どこに依頼するかによって進め方や費用感も変わるため、まずは複数社に相談し、自分の希望と予算に合った依頼先を選びましょう。
また、依頼時には「契約形態」を理解しておくことも重要です。
| 契約形態 | メリット | デメリット |
| 設計監理方式 | 設計者が施主の代理人となり工事を監理するため、透明性が高く品質が担保される。 | 設計事務所への設計料が別途発生するため、トータルコストが膨らみがち。 |
| 責任施工方式 | 設計から施工まで一括で依頼するため、スピード感がありコストを抑えやすい。 | 設計と工事のチェックが甘くなり、品質が施主任せになるリスクがある。 |
基本設計では、図面の「動線効率」や「法規制」をチェックしましょう。すべてを理解しなくても、確認ポイントを押さえることがトラブル防止につながります。
ステップ3:工事から引き渡しまでの流れ
設計が固まれば工事開始です。工期遅延はオープンに直結するため、工程管理、仕上がりチェック、各種検査のスケジュールをしっかり確認しましょう。引き渡し前は施主立ち会いで最終確認を。品質はもちろん、電気・空調などの設備が正常に稼働するかもチェックします。オープン後の営業支障を防ぐため、気になる点は必ず伝えましょう。
成功する店舗設計の重要ポイントとコスト戦略

店舗内装の設計は、単に「見た目を整える」作業ではありません。顧客の動き方や感じ方を設計段階から織り込み、限られた予算を効果的に配分してこそ、売上やリピート率の向上につながります。ここでは特に重要な3つの視点を紹介します。
ポイント①人間行動学に基づいた動線設計
来店客が店舗内をどのように移動するかを左右するのが、動線設計です。人は「入口から自然に誘導されるルート」を無意識に選ぶ傾向があり、この習性を前提に設計することで、店舗の回遊性や購買率を大きく高められます。動線設計は、単に人の通り道を作るだけでなく、購買心理を自然に後押しする「無言の営業ツール」と考えると良いでしょう。
物販店の場合
店舗入口から右回りに進む人が多いという心理を利用し、視認性の高い商品や新商品を右側に配置するのが定番です。通路の幅も重要で、狭すぎれば滞在しにくく、広すぎると「歩くだけで買わない」動線になりがちです。
飲食店の場合
テーブル間隔は最低60cm以上を確保しましょう。動線が狭いと顧客ストレスとスタッフ効率の低下につながります。厨房からの最短距離と、顧客の視線が交わらない配置も重要です。
サービス店舗の場合(美容室やクリニックなど)
受付から施術スペースへのスムーズな誘導が安心感を与えます。プライバシーを守りつつ、奥まで見通せるような視線の抜けも意識しましょう。
ポイント②売上と滞在時間を変える「五感デザイン」
顧客が店舗で感じる印象は、目に見える内装だけでなく「五感すべて」が影響しています。五感に訴える仕掛けは顧客の「居心地」を決定づけ、結果として購入額やリピート率を左右するため、非常に重要なパートです。
照明(視覚)
店内の照明は、光の色味を示す色温度(K:ケルビン)と、明るさを示す照度(lx:ルクス)の調整が肝心です。照明は、単に明るさだけでなく、顧客の心理と購買意欲に直結します。
【リラックス・居心地重視(暖色系)】
カフェやバーなど長時間滞在してほしい店舗では、温かみのある暖色系(2,700K〜3,000K)を選びましょう。オレンジがかった光がリラックス感を演出し、落ち着いた雰囲気を醸成します。
【商品・質感重視(中間色)】
アパレルや物販店では、商品の色や質感、試着時の肌色を自然に美しく見せる中間色(3,500K〜4,000K)への調整がおすすめです。正確な色再現により、顧客の購買意欲を高める効果があります。
参考:電材堂「色温度(ケルビン)の基礎知識」
参考:SIGN LITE「LED照明の色温度の比較: 2700K vs 3000K」
素材(触覚)
床材やカウンターの手触りは、ブランドイメージを直感的に伝えます。例えば高級志向なら天然木や石材を、カジュアルならメラミンやスチール素材を選ぶなど、コンセプトに沿った選定が必要です。
音(聴覚)
BGMのテンポや音量は顧客行動に直結します。アップテンポは回転率を、落ち着いたテンポは滞在時間を延ばします。声が聞き取りやすい音環境づくりが大切です。
香り(嗅覚)
コーヒーの香り、パンの焼ける匂いなど、匂いは強力な購買トリガーになります。サロンなどではアロマを取り入れ、空間全体のブランド体験を高めましょう。
店舗内装設計におけるコスト戦略
魅力的な店舗を作りたいと考えると、つい内装費用が膨らみがちです。しかし、予算を正しく配分しなければ「開業後の運転資金が不足する」というリスクに直結します。そこで重要なのが、内装工事費の内訳を理解し「メリハリをつけて投資する」ことです。
見える部分に重点投資
顧客の目に触れる什器、照明、壁面デザインなどにはしっかり予算をかけ、ブランドの世界観を表現しましょう。
見えない部分はコスト管理を徹底
天井裏の設備配管やバックヤードの仕上げなど、顧客に直接影響しない部分は過剰な投資を避けても問題ありません。
「一式表記」に注意する
内装の見積もりでは「〇〇工事一式」とまとめられていることが多く、細目が不明瞭になりがちです。複数社の見積もりを比較する際には、工事内容を細かく確認し、必要であれば仕様を分けて提示してもらうようにしましょう。
まとめ
店舗の内装設計は、デザイン性だけでなく、動線や快適性、そしてコスト面までバランスよく考えることが大切です。お客様が心地よく過ごせる空間づくりは、売上やリピーター獲得にも直結するため、オーナーにとって大きな投資と言えるでしょう。
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