カフェ開業を考える際、内装は集客に大きく影響する重要な要素です。特に小さなカフェでは限られた空間を最大限に活用する工夫が必要となります。この記事では、プロの視点から小さなカフェの内装づくりに必要な知識とポイントについて解説します。
小さなカフェの内装で押さえるべき基本事項
小さなカフェを開業する際には、まず基本的な知識を理解することが大切です。適切な広さの選定から、内装デザインの重要性、費用の目安まで、開業前に必ず確認しておくべき事項を紹介します。
小さなカフェの定義と適正な広さ
一般的に小さなカフェというと、5〜15坪程度の広さのカフェを指します。1坪はだいたい畳2枚分の広さで、約3.3平方メートルになります。ワンオペでできる小さなカフェとは、10坪以下の広さのカフェと考えられています。
例えば9坪(約29平方メートル)の場合、客席に12平方メートル程度、キッチンに13平方メートル程度、トイレに1.2平方メートル程度、そして通路や収納などのその他スペースに3.5平方メートル程度を確保することが望ましい配分となります。
内装デザインの重要性
小さなカフェの内装デザインは、お客様の心地よさに直結する重要な要素です。限られた空間だからこそ、細部まで計算された内装デザインが必要となります。内装デザインを考える際は、来店していただきたいお客様像を明確にすることから始めましょう。
例えば、1人で立ち寄って落ち着いた時間を過ごしたいお客様をターゲットにする場合は、カウンター席を中心としたレイアウトが適しています。一方で、友人同士での利用を想定する場合は、2人掛けテーブルの配置を重視する必要があります。
内装工事の費用相場
小さなカフェの内装工事にかかる費用は、物件の状態によって大きく異なります。一般的な相場としては150万円から600万円程度となっています。この金額の幅が大きい理由は、物件の状態や必要な設備工事の内容によるものです。
一方、以前に飲食店として使用されていた居抜き物件の場合は、1坪あたり10万円程度で内装工事が可能な場合もあります。これは、必要な設備が既に整っているため、修繕や交換が必要な箇所のみの工事で済むためです。また、看板やメニュー表、壁面や窓の装飾など、可能な部分でDIYを活用することで費用を抑えることができます。
小さなカフェの内装デザインで成功する3つのポイント
小さなカフェを経営する上で、限られた空間を最大限に活用することは非常に重要です。ここでは、快適な空間づくりに欠かせない3つの要素について詳しく説明していきます。
効率的な動線計画の重要性
小さなカフェでは、スタッフと来店客の動きやすさを考えた動線計画が必要不可欠です。入店してから着席まで、そしてお手洗いの利用やお会計まで、全ての動きをスムーズにする工夫が求められます。
特に重要なのは、入口から客席までの導線をわかりやすくすることです。店内に入ってすぐに客席が見渡せる配置にすると、お客様は迷わず着席できます。また、レジカウンターは入口に近い場所に設置すると、会計時の混雑を防ぐことができます。
空間を広く見せるデザインテクニック
限られた空間を広く感じさせるためには、いくつかのデザインテクニックが効果的です。大きな鏡を効果的に使用することで、視覚的な広がりを演出することができます。また、家具の選び方も重要なポイントです。
背の高い家具は圧迫感を与えてしまうため、できるだけ低めの家具を選ぶようにしましょう。コンパクトなテーブルと椅子を使用することで、限られた空間でも必要な席数を確保することができます。壁面収納を活用すれば、スッキリとした印象を保ちながら、収納スペースも確保できます。
収納スペースの確保と工夫
小さなカフェでは、収納スペースの確保が大きな課題となります。食器やカトラリー、調理器具、消耗品など、必要な物品は数多くあります。壁面を有効活用した収納棚の設置や、カウンター下のデッドスペースを活用した引き出しの設置など、工夫次第で収納スペースを生み出すことができます。
ただし、収納アイテムを置きすぎると雑然とした印象になるため、必要最低限の物品に絞ることが大切です。在庫管理を徹底し、こまめな仕入れを行うことで、保管スペースを最小限に抑えることも可能です。
小さなカフェの客席スペース作りのポイント
客席スペースは、お客様が実際に時間を過ごす大切な空間です。快適な滞在時間を提供するためには、適切な配置と雰囲気作りが必要です。ここでは小さなカフェならではの客席づくりのポイントを説明します。
テーブル配置と席数の決め方
小さなカフェでのテーブル配置は、店舗の広さと営業スタイルに応じて決定します。9坪程度の広さの場合、2人掛けのテーブルを7〜8セット、カウンター席を4〜6席程度設置することが可能です。満席時には20名前後を収容できる計算になります。
ただし、1人での運営を考えている場合は、10名前後の席数に抑えることがおすすめです。カウンター席を中心にした場合は、オーナーとの対話を楽しむお客様の満足度が高まります。また、テーブル間の通路幅は最低でも60センチメートルは確保し、お客様やスタッフが窮屈に感じない空間にすることが大切です。
居心地の良い空間づくりのコツ
小さなカフェの魅力は、アットホームな雰囲気と落ち着いた空間にあります。居心地の良い空間を作るためには、内装の素材選びが重要です。木材などの温かみのある素材を取り入れることで、リラックスできる雰囲気を演出できます。
また、壁面の色使いも大切なポイントです。白を基調としながら、アクセントカラーを効果的に使用することで、洗練された空間を作ることができます。観葉植物や季節の花を飾ることも、空間に潤いを与える効果的な方法です。窓際の席は自然光を取り入れやすく、開放感のある居心地の良い空間となります。
照明計画のポイント
照明は、空間の印象を大きく左右する重要な要素です。小さなカフェの照明計画では、全体照明と局部照明をバランスよく組み合わせることがポイントです。天井からの全体照明は、明るすぎない柔らかな光で空間全体を包み込むように設置します。
テーブルやカウンターには、ペンダントライトやスポットライトなどの局部照明を設置することで、落ち着いた雰囲気を演出できます。窓際の自然光を活かしながら、時間帯や天候に応じて照明の明るさを調整できるよう、調光機能付きの照明器具を選ぶことも検討しましょう。
小さなカフェの内装工事の進め方
内装工事は、開業までの重要なプロセスです。計画的に進めることで、予算内で理想的な空間を実現することができます。ここでは工事の流れから注意点までを詳しく説明します。
内装工事の期間と流れ
小さなカフェの内装工事は、物件の状態によって工期が変わります。一般的なスケルトン物件の場合、設計から工事完了まで2〜3ヶ月程度の期間が必要です。最初に内装デザインの設計図面を作成し、その後必要な設備工事を行います。
給排水設備や電気設備などのインフラ工事から始まり、床や壁、天井の内装工事へと進みます。内装工事の際は、近隣への配慮も欠かせません。工事による音や振動が発生する場合は、事前に周辺住民への説明を行うことが望ましいでしょう。
必要な申請と許認可
飲食店を開業する際は、保健所への営業許可申請が必要不可欠です。申請には設備の配置図や内装仕上げ材の仕様書など、様々な書類が必要となります。申請から許可が下りるまでには通常2週間程度かかるため、開業日程を考慮して余裕を持って準備することが大切です。
また、内装工事の際には建築基準法に基づく各種申請も必要となる場合があります。特に防火区画や換気設備については、法令に適合した設計・施工が求められます。さらに、看板やテラス席を設置する場合は、道路使用許可や屋外広告物の許可申請なども必要になることがあります。
工事中の注意点
内装工事を進める上で、品質管理と安全管理は最も重要な要素です。特に飲食店の場合、衛生面への配慮が欠かせません。床や壁の仕上げ材は耐久性があり清掃がしやすい素材を選択しましょう。
給排水設備の工事では、漏水などのトラブルを防ぐために入念な検査が必要です。工事期間中は工程表に基づいて進捗を管理し、予定通りに開業できるよう計画的に進めることが重要です。資材の搬入や工事車両の出入りについても、近隣に迷惑をかけないよう配慮が必要です。
まとめ
小さなカフェの内装づくりには、限られた空間を最大限に活用するための様々な工夫が必要です。適切な広さの選定から、効率的な動線計画、居心地の良い空間づくりまで、多くの検討事項があります。
内装工事には専門的な知識と経験が必要不可欠です。株式会社バイソンでは、長年の店舗施工経験を活かし、お客様の理想とする空間づくりをサポートしています。小さなカフェの開業をお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。専門スタッフが丁寧に対応させていただきます。