

店舗改装の費用相場は? 7つのコストダウン方法についても解説

店舗の改装は、お客様に新鮮な印象を与え、売上アップにつながる重要な投資です。しかし、改装費用は予想以上にかかることがあります。この記事では、店舗改装の費用相場や内訳、費用を抑えるポイント、活用できる補助金などについて解説します。
店舗改装にかかる費用相場と内訳

店舗改装の費用は、業種や規模によってさまざまです。ここでは一般的な費用相場と、内装・外装それぞれの改装費用の内訳について解説します。
店舗改装費用の相場を業種・坪単価別に比較
店舗改装の費用は、一般的に坪単価で表され、業種や規模、物件の状態によって異なります。平均的な目安は1坪あたり20万円から50万円程度ですが、高級内装や特殊設備の導入で100万円以上になることもあります。例えば、25〜30坪の飲食店の全面改装では3000万円から5000万円ほどになることも珍しくありません。
よくある業種ごとの平均的な改装費用と、物件の状態による坪単価の目安は以下の通りです。
【業種別の改装費用相場】
| 業種 | 費用相場(坪単価の目安) |
| カフェ | 約15〜40万円/坪 |
| 美容室 | 約20〜50万円/坪 |
| アパレル | 約10〜30万円/坪 |
| 飲食店全般 | 約20〜60万円/坪 |
飲食店が高めなのは、厨房設備や水回り工事が必要になるためです。
【スケルトン物件・居抜き物件別の坪単価相場】
- スケルトン物件の場合:内装を一から作り上げる必要があるため、坪単価20〜40万円前後が一般的です。業種やデザイン性によっては50万円を超えることもあります。
- 居抜き物件の場合:既存の内装や設備を活用できれば、坪単価10〜25万円程度に抑えられるケースもあります。ただし、老朽化や前店舗の使い勝手によっては、追加工事費が発生することもあるので注意が必要です。
内装・外装それぞれの改装費用の内訳
続いて内訳をみていきましょう。1坪あたりにかかる費用の内訳を、内装と外装に分けて説明します。ただし、外装にかかる工事費用はまとめて計算されるケースが多く、1坪あたりの目安は出しにくいため、ここでは項目ごとの目安としています。
なお、立地や物件の状態によっても費用は大きく異なることを念頭に置き、参考にしてください。
【内装】
| 内訳項目 | 内容説明 | 費用の目安(1坪あたり) |
| 下地工事(床・壁・天井) | 壁・床・天井の基礎部分の造作。スケルトンだと必須。 | 約1万〜3万円 |
| 内装仕上げ工事 | クロス、フローリング、塗装などの仕上げ作業。 | 約2万〜6万円 |
| 間仕切り・造作工事 | 部屋の区切り、棚やカウンターなどの造作物。 | 約1万〜4万円 |
| 電気設備工事 | 照明、コンセント、配線などの設置・調整。 | 約1万〜3万円 |
| 空調・換気設備工事 | エアコン、換気扇などの新設または交換。 | 約2万〜5万円 |
| 給排水・衛生設備工事 | トイレ・洗面台・厨房機器の設置など。 | 約2万〜6万円 |
| デザイン・設計料 | 内装デザインや設計のコンサル費用。 | 工事費の10〜15%程度 |
【外装】
| 内訳項目 | 内容説明 | 費用の目安 |
| 外壁の塗装・張替え | モルタル・タイル・サイディングなどの塗装や張り替え。見た目の印象を決める部分。 | 20万〜100万円程度 |
| ファサード改修 | 入口周りの意匠、ドア、庇、装飾などのデザインと施工。 | 30万〜150万円程度 |
| 看板設置・交換 | ロゴ・店名の表示。種類(電飾・立体・壁面など)により価格は大きく変動。 | 10万〜80万円程度 |
| 照明設備の設置 | 外部照明(スポットライト・サイン照明など)の新設や交換。 | 5万〜30万円程度 |
| アプローチ整備 | 駐車場・スロープ・花壇などの整備。店舗の入りやすさを左右。 | 10万〜50万円程度 |
| シャッターや防犯設備 | シャッター新設・交換、防犯カメラ設置などセキュリティ対応。 | 15万〜50万円程度 |
外装は「集客力」に直結するため、コストをかける価値のある部分とされます。
店舗改装費用に影響する要因

店舗改装の費用は、さまざまな要因によって変動します。改装の規模、設備や素材の選び方、物件の状態などについて、みていきましょう。
改装の規模
店舗改装は、部分的な改装か全面改装によって費用は大きく変動します。
例えば、壁紙の張り替えや照明の交換といった部分的な改装なら、数十万円程度で済むこともあります。一方、間取りの変更や設備の全面的な入れ替えを含む全面改装では、数百万円から数千万円の費用がかかることもあります。
また、改装の規模が大きくなるほど、工事期間も長くなるため、その間の営業停止による機会損失も考慮しましょう。改装の規模を決める際は、必要性と予算のバランスを十分に検討することが大切です。
設備や素材の選び方
店舗で使用する設備機器や素材の選び方も、大きな影響を与えます。
特に、飲食店の厨房設備や美容室のシャンプー台などは、高額になる傾向があります。例えばプロ仕様の厨房設備では、冷蔵庫なども含めると500万円を超えることもあります。一方、家庭用のキッチン設備なら100万円から200万円程度で済むこともあるでしょう。
また、空調設備や照明設備なども同じです。費用を抑えるには、あまり高ランクのものは導入できません。ただし、高性能で省エネ性の高い機器は初期費用が高くなりますが、長期的には電気代の節約につながるでしょう。
そして内装材料の選択も、全体の費用に大きく影響します。珪藻土や漆喰の壁仕上げはビニールクロスの5〜6倍、無垢材フローリングはビニール床材の3〜5倍の費用差が生じる可能性があります。予算計画時は、店舗規模、必要設備、内装材料を考慮し、目的に合わせた適切な計画を立てることが重要です。
物件の状態
前述したように、物件が「スケルトン」か「居抜き」かによって、改装費用は大きく異なります。
スケルトン物件とは、内装や設備がすべて撤去された状態の物件です。ゼロから設計・施工が必要なため、自由度は高い反面、費用は高めになります。一方で居抜き物件は、前のテナントの内装や設備が残っている状態です。既存の設備を活かせば、初期費用を大きく抑えられます。
ただし、見た目はきれいでも配管や空調設備が老朽化していることもあるため、事前の確認が欠かせません。また、内装のテイストが自店舗のコンセプトに合わない場合は、結局大規模な工事が必要になることもあります。
店舗改装費用を抑えるためのポイント7つ

店舗改装は大切な投資ですが、改装資金を準備することは大変なことです。そこで、できるだけ改装費用を抑えて負担を軽くするための、7つのポイントを紹介します。
1.部分改装を検討する
改装の規模は大きく費用に影響するため、まずは部分改装と全面改装のメリット・デメリットを比較し、部分改装で済ませられないかを考えてみましょう。
部分改装は特定の箇所のみを改装するため、費用を抑えられます。例えば、店舗の入口や看板だけを新しくしたり、壁紙や床のクロスの張替えのみにしたりであれば、比較的少ない費用で店舗イメージを刷新できるでしょう。
一方、全面改装のメリットは、店舗全体の雰囲気を一新でき、大きな集客効果が期待できることです。設備を一度に更新するため、長期的には維持費の削減につながる可能性もあります。ただし工事期間も長くなるうえに、大きな費用が必要になります。
予算と改装の目的、そして期待する効果を考慮して決めるようにしましょう。
2.中古・既存設備を活用する
新品の設備にこだわらず、中古品や既存の設備を活用することも、改装費用を抑える有効な方法です。例えば、システムキッチンやユニットバスの展示品を購入すると、新品よりも安く入手できることがあります。
また、既存の設備を完全に取り替えるのではなく、一部を修繕したり改良したりする方法もあります。キッチンの場合、既存のキャビネットはそのままで扉だけを交換したり、天板だけを新しくしたりすることで、見た目を新しくしつつ費用を抑えられます。
ただし、中古品や既存設備を使用する場合は、安全性や耐久性を十分に確認することが大切です。また、エネルギー効率の悪い古い設備を使い続けると、長期的には高い運用コストにつながる可能性もあるため、総合的に判断しましょう。
3.複数の業者から見積もりを取る
店舗改装の費用を抑えるために、必ず複数の施工業者から見積もりを取りましょう。同じ改装内容でも、業者によって数十万円単位で差が出ることもあります。複数社の見積もりを比較することは、価格だけでなく、工事内容の妥当性や対応力も確認しやすくなります。
また、相見積もりを取ることで業者側も価格を見直すきっかけになり、より納得感のある契約がしやすくなることもメリットです。選定時は価格だけでなく、過去の施工実績や保証内容などもチェックしましょう。
4.補助金や助成金を活用する
条件が合えば、店舗改装に使える補助金や助成金を活用することで、自己負担を大幅に軽減できます。制度を活用する際には募集期間や申請書類に注意が必要ですが、計画的に活用すれば、数十万円〜100万円以上の支援を受けられる可能性があります。
専門家のサポートを受けながら申請を進めるのも一つの方法です。なお、補助金や助成金についての詳しい説明は後述します。
5.デザインをシンプルにする
凝ったデザインや高級素材を多用すると、当然ながら工事費用も高くなるため、内装デザインをシンプルにまとめると効果的です。
例えば、壁紙や床材は既製品を使う、間仕切りを少なくする、造作家具は必要最小限にするなどの工夫をしてみましょう。コストを下げつつ洗練された空間を実現するためには、店舗の世界観やブランドイメージを損なわない範囲で「見せたい部分に絞って費用をかける」という考え方が大切です。
6.オフシーズンに工事を依頼する
店舗改装を閑散期に改装をすることのメリットは、以下のようなものがあります。
- 売上への影響を最小限に抑えられる
- 工事期間を確保しやすい
- 職人や業者の予定が調整しやすい
- 業者の単価が控えめに設定される傾向がある
- 工期や内容相談にも柔軟に対応してもらいやすい
オフシーズンは業種によって異なりますが、例えば飲食店では梅雨や真夏の平日は比較的集客が落ち着きます。一般的に繁忙期とされる春(3〜5月)、と秋(9〜11月)は避けることを検討してみましょう。
7.DIYできる部分は自力で行う
壁の塗装や棚の設置など、プロに頼まなくてもできる軽作業は、DIYで対応するのも改装費用を抑える方法のひとつです。最近ではホームセンターや動画サイトで情報も揃っており、初心者でも挑戦しやすくなっています。
特に、仕上げや装飾の一部を自分で行えば、工事費用を数万円〜数十万円削減できることもあります。ただし、電気・ガス・水道工事などの専門性が高い作業は、必ず資格を持つ業者に依頼しましょう。
店舗改装で活用できる補助金と助成金

店舗改装の費用負担を軽減するために、国や地方自治体が提供する補助金や助成金を活用する方法があります。ここでは、店舗改装に利用できる主な支援制度について説明します。
注意点は、補助金や助成金の制度は開始・終了ともに多いことです。受給できる金額や受付期間なども変わりやすいため、申請前には必ず最新情報を確認するようにしてください。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者の販路開拓等の取り組みを支援する制度です。店舗改装も、販路開拓につながる取り組みとして認められる場合があります。この補助金は、従業員5人以下の商業・サービス業、従業員20人以下の宿泊業・娯楽業・製造業などの、小規模事業者が利用できます。
補助率は対象となる経費の3分の2で、補助上限額は50万円です(2023年度の場合)。例えば、75万円の改装工事を行った場合、最大で50万円の補助を受けられる可能性があります。
ただし、この補助金を受けるには、経営計画を作成し、その計画に沿った取り組みであることを示す必要があります。また、申請には地域の商工会議所などの支援が必要です。補助金の申請を考える場合は、早めに地域の商工会議所に相談することをおすすめします。
詳しくは「商工会地区 小規模事業者持続化補助金事務局」のHPをご覧ください。
▶商工会地区 小規模事業者持続化補助金事務局「小規模事業者持続化補助金」
業務改善助成金
業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者が生産性向上のための設備投資などを行い、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を一定額以上引き上げた場合に、その設備投資などにかかった費用の一部を助成する制度です。
店舗改装も、生産性向上につながる取り組みとして認められる場合があります。高機能設備を導入する工事や、デリバリーに対応するための厨房機器の増設などにも活用可能です。助成額は、賃金引上げ幅や従業員数によって異なります。例えば、従業員数が30人未満の事業者が事業場内最低賃金を30円以上引き上げる場合、最大で120万円の助成を受けられる可能性があります(2024年度の場合)。
ただし、この助成金を受けるには、賃金引上げ計画の作成や、生産性向上の取り組みの実施など、いくつかの要件を満たす必要があります。また、申請には細かい手続きが必要なため、専門家のサポートを受けることをおすすめします。
参考:厚生労働省「業務改善助成金」
その他の制度
他にも、受動喫煙を防止する取り組みに対して経費の一部を負担する「受動喫煙防止助成金」や、新分野展開や業態転換などを目指す中小企業を支援する「事業再構築補助金」などがあります。
店舗改装の時期や内容に合わせ、自治体独自の支援制度がないかもチェックしてみましょう。
まとめ
店舗改装は、お客様に新鮮な印象を与え、売上アップにつながる重要な投資です。費用は業種や規模によって大きく異なりますが、1坪あたり20万円から50万円程度が一般的な相場になっています。
改装費用を抑えるさまざまな方法や、補助金・助成金などの支援制度の活用を検討してみましょう。大きく費用負担を軽減できる可能性があります。
改装を成功させるには、予算と目的のバランスを考慮し、適切な計画を立てることが重要です。専門知識や経験が必要な場合は、株式会社バイソンへご相談ください。バイソンでは、お客様のニーズに合わせた最適な改装プランを提案し、費用対効果の高い店舗づくりをサポート致します。