

飲食店の改装費用を徹底解説!予算の目安と抑える方法

飲食店を続けていく中で、改装を考えるタイミングは必ずやってきます。長く営業していると、内装が古くなってきたり、時代の流れに合わないデザインに感じたりすることもあるはずです。また、最近ではコロナ禍をきっかけに、お客様にとって安心で快適な空間づくりを目指すお店も増えました。
ただし、いざ改装を検討しても、「どのくらいの費用がかかるのか」「お金をかけすぎずに良いお店にするにはどうしたらいいか」など、費用面で悩む方は少なくありません。特に初めて改装する方にとっては、どこから手をつけたらよいのか見当がつかないこともあるでしょう。
この記事では、飲食店の改装にかかる費用の相場やその内訳、そして費用を抑えるために知っておきたいポイントについて、わかりやすく解説します。
飲食店改装の費用相場と坪単価の目安

飲食店の改装費用は、業態や物件のタイプによって大きく異なります。ここでは、一般的な費用相場について、業態別および物件タイプ別に詳しく解説します。
飲食店の業態別にみる改装費用の目安
飲食店の改装費用は、業態によって大きく変わります。カフェやバーなどの比較的シンプルな設備で済む業態から、本格的な厨房設備が必要な和食店や焼肉店まで、費用帯はさまざまです。
カフェやバーの場合、1坪あたり30万円から50万円程度が一般的な改装費用の目安となります。これに対し、フルサービスのレストランや和食店では、1坪あたり50万円から80万円程度かかることもあります。
焼肉店や居酒屋などの場合、換気設備や防音対策などの特殊な工事が必要になることがあり、1坪あたり60万円から100万円以上かかることも珍しくありません。ただし、これらはあくまで目安であり、具体的な改装内容や物件の状態によって大きく変動します。また、地域による物価の違いも考慮する必要があります。
スケルトン物件と居抜き物件の改装費用比較
改装費用は、物件のタイプによっても大きく異なります。主に、スケルトン物件と居抜き物件の2種類に分けて考えられます。
特徴 | 1坪あたりの平均単価 | |
スケルトン物件 | 内装や設備がほぼ何もない状態の物件。 一から自由にデザインできる反面、すべての設備を新規に導入する必要があるため、改装費用は高額になりがち。 | 60万円から100万円以上 |
居抜き物件 | 前テナントの内装や設備がそのまま残っている物件。 既存の設備を活用できるため、改装費用を抑えられる。 | 30万円から60万円程度 ※物件の状態にもよる |
飲食店の内装工事にかかる費用内訳

飲食店の改装では、「どこにどれだけの費用がかかるのか」をあらかじめ知っておくことが大切です。工事費用といっても、その中には内装や設備、申請に関わるものなど、さまざまな費用が含まれています。ここでは、飲食店の改装費用を内訳ごとに分けて詳しく解説します。
内装工事にかかる費用の内訳
飲食店の内装工事では、店内の見た目や雰囲気をつくるために、さまざまな部分を仕上げていきます。主に費用がかかるのは、床・壁・天井といった空間の大部分を占める部分です。高級感を出したいときは本物の木やタイルなどが使われますが、費用は高くなります。逆に、クッションフロアやビニル床タイルといった素材は安価で、お手入れもしやすいため、予算をおさえたいときに向いています。
壁や天井の仕上げも、店の印象を左右する重要な部分です。壁紙を貼る方法は比較的安く済みますが、塗装や木材、タイルなどを使うと、より特徴のあるデザインになります。ただし、材料代や工事費が高くなることがあるため、どこにどの素材を使うかを考えながら、全体のバランスを整えることが大切です。
設備工事にかかる費用の内訳
設備工事は、飲食店の機能性を決定する重要な要素です。主な設備工事には、電気工事、給排水工事、空調工事などがあります。
電気工事では、照明や厨房機器、レジなどの電源確保が必要です。電気容量の増設が必要な場合は、工事費用が高額になる可能性があります。給排水工事は、キッチンやバー、トイレなどの水回りに不可欠です。
特に、グリストラップ(油脂分離槽)の設置は法令で義務付けられており、適切に設置する必要があります。空調工事は、お客様の快適性を左右する重要な要素です。店舗の広さや天井高、断熱性能などを考慮して、適切な容量の空調設備の選定が求められます。
その他の付随費用
飲食店の改装では、内装工事や設備工事だけでなく、その他にも必要な費用があります。これらは事前に気づきにくいことが多いですが、合計すると大きな金額になることもあるため注意が必要です。
まず、設計費用があります。店舗のレイアウトやデザインを決める設計は、見た目だけでなく、動きやすさや使いやすさにも関わる大切な部分です。設計士やデザイナーに依頼する場合、工事費全体の5%から10%ほどが目安とされています。
また、飲食店を営業するためには、保健所への申請や建築に関する届け出など、いくつかの許可を取る必要があります。こうした申請にかかる費用や、手続きを専門家に依頼する場合の報酬も含めて、あらかじめ予算に入れておくと安心です。
飲食店の改装費用を抑えるポイント

飲食店の改装には一定の費用がかかりますが、工夫次第で費用を抑えることも可能です。この章では、コストを抑えながらも店舗の魅力を高めるために意識しておきたいポイントを紹介します。
既存設備を活用して改装費用を削減する方法
既存の設備をうまく活用することで、改装費用を大幅に抑えられます。特に居抜き物件の場合、前テナントが使用していた設備や内装をそのまま利用できる可能性が高いです。
厨房設備は特に高額なため、既存のものを活用できれば大きな節約になります。ただし、古い設備は故障のリスクが高いため、専門家による点検を行い、必要に応じてメンテナンスや部分的な更新を検討しましょう。
材料選びで飲食店の改装費用に差をつけるコツ
材料選びは、高級感と経済性のバランスを取りながら適切な材料を選ぶことが重要です。床材の選択では、耐久性と清掃のしやすさを重視しましょう。
高級感を出したい場所には本物の木材やタイルを使い、それ以外の場所では耐久性の高いビニル床材を使うなど、メリハリをつけることで費用を抑えられます。壁材も同様に、お客様の目に触れやすい場所には質の高い材料を使い、それ以外の場所では比較的安価な材料を使うことで、全体的なコストダウンに繋がります。
工事範囲を最適化して改装費用を抑える方法
飲食店の改装費用を少しでも減らすためには、どこを改装するかをしっかりと考えることが大切です。すべての場所をきれいにしようとすると費用がふくらんでしまうので、必要な場所とそうでない場所を分けて計画することがポイントになります。
たとえば、お客様がよく目にする入口まわりやカウンター、食事をするスペースは、第一印象に関わるため、見た目を良くしておきたいところです。一方、スタッフだけが使うバックヤードや倉庫などは、大きな工事をせず、使える部分をそのまま残すことで費用を減らすことができます。
中古やリースを活用した改装費用の節約術
新品の家具や厨房機器は高額になりやすいため、中古品やリースをうまく活用することも有効な方法です。中古市場では、まだ使用可能な高品質の厨房機器が比較的安価で販売されていることもあります。リースを利用すれば初期費用を抑えることができ、運転資金に余裕を持たせることが可能になります。
ただし、状態や保証内容をよく確認することが大切です。中古機器は価格が安い分、すぐに壊れてしまうリスクもあるため、信頼できる業者からの購入や、専門家の点検を経て導入すると良いでしょう。
飲食店の改装費用をどう調達する?資金調達方法

飲食店の改装には、ある程度まとまったお金が必要になります。自己資金だけではまかないきれない場合も多いため、あらかじめ資金調達の方法を考えておくことが大切です。この章では、飲食店の改装費用をまかなうための代表的な手段について紹介します。
融資や補助金で改装費用をカバーする方法
飲食店の改装資金を調達する最も一般的な方法は、金融機関からの融資です。主な融資の種類には以下のようなものがあります。
日本政策金融公庫の融資 | 小規模事業者向けの融資制度があり、比較的低金利で融資を受けられる可能性があります。 |
民間銀行の事業者ローン | 信用力のある事業者であれば、民間銀行からの融資も選択肢となります。 |
信用保証協会の保証付き融資 | 信用保証協会の保証を得ることで、融資を受けやすくなる場合があります。 |
これらの融資を受ける際は、事業計画書の作成が重要です。改装後の売上予測や返済計画を明確に示すことが求められます。また、地方自治体や商工会議所などが提供する補助金制度を活用する方法もあります。ただし、これらの補助金は競争率が高く、申請には綿密な準備が必要です。
クラウドファンディングで飲食店改装の費用を集める方法
最近では、クラウドファンディングを使って改装費用を集める飲食店も増えています。クラウドファンディングは、インターネットを通じて多くの人から少しずつ資金を集める仕組みです。クラウドファンディングには以下のようなメリットがあります。
- 資金調達と同時に宣伝効果が得られる
- 顧客との関係性を強化できる
- 融資とは異なり、返済の必要がない(リターン型の場合)
クラウドファンディングを成功させるためには、魅力的なプロジェクトの企画と効果的な情報発信が重要です。改装後の店舗ビジョンを明確に示し、支援者に対する魅力的なリターンを用意することが成功のカギとなります。
クラウドファンディングを成功させるためには、魅力的なプロジェクトの企画と効果的な情報発信が重要です。改装後の店舗ビジョンを明確に示し、支援者に対する魅力的なリターンを用意することが成功のカギとなります。
ただし、クラウドファンディングには、目標金額に達しないと資金を受け取れないケースもあるため、リスクも考慮する必要があります。また、プロジェクトの実行と支援者へのリターンの提供に関する責任も伴います。
資金調達方法の選択は、店舗の状況や改装の規模、経営者の考え方によって異なります。それぞれの方法のメリット・デメリットを十分に検討し、最適な方法を選択することが重要です。
飲食店の改装費用見積もり前に準備すべきこと

改装工事をスムーズに進めるためには、工事の依頼をする前にやっておくべき準備があります。この章では、飲食店の改装費用を見積もる前に行っておきたい大切な準備を紹介します。
飲食店の情報や改装目的を整理する
最初にやるべきことは、自分のお店の現状と、どこをどう変えたいのかを整理することです。たとえば、客席数を増やしたいのか、厨房の使い勝手を良くしたいのか、デザインを一新したいのかなど、目的によって必要な工事は変わってきます。
また、お店の面積、築年数、現在の設備状況なども、見積もりには欠かせない情報です。あらかじめ図面やレイアウトが手元にあれば、業者との打ち合わせもスムーズに進みます。
顧客層とコンセプトをもとに改装計画を立てる
改装の方向性を決めるには、「どんなお客様に来てほしいか」「どんな雰囲気のお店にしたいか」を明確にすることが必要です。ターゲットとなる客層が学生かビジネスパーソンか、家族連れかカップルかによって、デザインやレイアウトの考え方も違ってきます。
たとえば、落ち着いた空間を求めるなら、席の間隔を広めにとったり照明を抑えめにしたりする工夫が必要です。コンセプトがはっきりしていないと、設計者や施工業者に希望をうまく伝えられず、完成した店舗がイメージと違うものになるおそれがあります。
理想の飲食店デザインをイメージして費用計画を立てる
デザインの方向性が決まったら、具体的にどんな内装にしたいかをイメージしておくと良いでしょう。理想のお店に近い店舗の写真を集めたり、イメージボードを作ったりすると、業者に要望が伝わりやすくなります。
同時に、どこまで費用をかけられるのかという点も現実的に考える必要があります。理想を追い求めすぎて、見積もりが予算を大きく超えてしまうことは珍しくありません。優先順位を決めて、必要な部分と妥協できる部分を整理しておくことが、予算内で満足度の高い改装につなげるポイントです。
【まとめ】飲食店の改装費用を理解して理想の店舗づくりを実現しよう
飲食店の改装は、お客様にとって魅力ある空間をつくるだけでなく、スタッフの働きやすさやお店のブランドイメージを高めるためにも重要です。しかし、改装にはまとまった費用がかかるため、どこにどのくらいの予算が必要かをしっかり把握しておくことが欠かせません。
改装には専門的な知識や経験が必要です。どこを直せばいいのか、どこを活かせばいいのかを見極めるには、信頼できるプロのサポートがあると安心です。飲食店の改装をご検討中の方は、ぜひ株式会社バイソンにご相談ください。
愛知・三重・岐阜・静岡を中心に多数の実績を持つ施工のプロフェッショナルが、設計から施工、引き渡しまで丁寧に対応いたします。お客様の理想の店舗づくりを、確かな技術と経験でサポートいたします。まずはお気軽にお問い合わせください。