

クリニック内装の成功ポイントとは? 診療科別の設計からFAQまで

クリニックの内装は、患者様に与える印象を大きく左右する重要な要素です。適切な内装デザインは、患者様の安心感につながり、医療サービスの質にも影響を与えます。この記事では、クリニックの内装デザインにおけるよくある失敗と成功のポイント、クリニックの内装に関わる法律の規制、診療科別の内装ポイントと、内装業者の選び方などについて解説します。
クリニック内装でよくある失敗と成功のポイント

クリニックの内装デザインでは、患者様の快適性と医療スタッフの業務効率を両立させることが絶対に必要です。しかし、開業時には予算やスケジュールの管理に追われ、設計面の見落としが起きがちです。この章では、よくある3つの失敗と、その改善ポイントを解説します。
よくある失敗①無機質で冷たい印象の空間になる
クリニックは医療施設である一方で、患者様にとっては不安な気持ちを抱えて訪れる場所でもあります。内装を清潔感だけでまとめてしまうと、冷たく無機質な印象を与えてしまい、かえって緊張感を高めてしまうことになりかねません。そのため、内装デザインでは安心感を与えることが大切です。
成功のポイントは「安心感」と「温かみ」の演出です。
照明は白色光だけでなく、温白色や間接照明を使うことで柔らかな雰囲気を作れます。壁紙や床材は、ベージュや淡い木目調など、落ち着いた色合いを選ぶと心が和らぐためおすすめです。また、椅子や受付カウンターにも木材やファブリックを取り入れると、印象がやわらぎ、リラックスしやすい空間になります。
よくある失敗②ゾーニングが診療科に合っていない
すべてのクリニックに同じレイアウトを当てはめてしまうと、診療科によっては不便が生じます。たとえば、美容系クリニックではプライバシー確保が求められる一方、整形外科では広めで開放的なリハビリスペースが必要です。内科であれば、診察室と処置室の連携が重要になるでしょう。ゾーニングが不適切だと、患者様の動線が悪くなったり、スタッフの作業効率も落ちたりします。
成功のポイントは「診療科ごとの特性を理解した空間設計」です。内科では処置室との連携、小児科ではキッズスペースの配置、歯科では診療ユニットの配置間隔など、診療内容に合わせてレイアウトするようにしましょう。ヒアリング時に業者へ診療スタイルを明確に伝え、科目ごとの設計ノウハウを持つ業者を選ぶことが重要です。
よくある失敗③ 動線・バリアフリーが不十分
開業時は間取りやデザインに意識が向きがちですが、「動線設計」と「バリアフリー対応」が後回しになると、患者様の不便やスタッフの非効率につながります。
病院では多くの場合、患者様体調が悪いという前提です。そのため受付から待合室、診察室、会計までスムーズに移動できることが理想です。段差や狭い通路があると、高齢者や車椅子利用者にとって大きな障害になります。また、スタッフが頻繁に移動するエリアで動線が交錯すると、業務効率や安全性の低下へつながるでしょう。
成功のポイントは「誰にとっても快適な流れをつくる」ことです。明確な案内板、幅広の通路、段差のない床、回遊できるスタッフ動線などを意識し、利用者の立場に立った設計をしなくてはなりません。開業エリアが都市部の場合は、コンパクトな空間でも動線を最大限に活かす工夫が求められます。
クリニック内装に関わる法規制と基準

クリニックの内装工事には、医療法や建築基準法などの法規制があります。これらの基準を満たすことによって、安全で快適な医療環境を実現していきましょう。
医療法による内装の規定
医療法では、クリニックの開設や移転に際して都道府県知事の許可が必要であり、診療所の構造設備について具体的な基準が定められています。開設や移転時には、医療法に基づいてクリニックの敷地面積や建物面積、構造、耐火性能、診察室の数などが審査されます。
たとえば診察室と廊下は明確に分ける必要があり、診察室は9.9平方メートル以上、待合室は3.3平方メートル以上であることが望ましいなどです。また、診察室は医師1人につき1室が望ましく、1室で複数の診療科を担当することは推奨されていません。
医療法には、さまざまな決まりがあるため、クリニック内装の計画を立てるときは専門知識のある業者への相談が重要です。
建築基準法で求められる構造・防災対策
クリニックは一般建築物として扱われ、建築基準法が適用されます。20床以上の病院と比べると規制は緩やかですが、耐震構造、防火や防災設備などの基準を満たさなくてはなりません。
たとえばクリニックの用途に応じ、階段やエレベーターなど出入口の幅や数、通路がいくつあるか、防火区間や消火器などの防火設備は整っているか、換気や排水などの衛生設備などがあるかといったことです。
バリアフリー対応の必須ポイント
クリニックは高齢者や小さな子、身体が不自由な方も多く来院される施設です。そのため、バリアフリー対応も法令で義務付けられています。出入り口には段差を設けず、やむを得ず段差がある場合はスロープを設置しましょう。
通路の幅は車椅子やベビーカーがすれ違えるよう、十分な広さを確保することが求められます。また、トイレは車椅子の方も使用できる広さを確保し、手すりを適切に設置しなければなりません。廊下や階段には両側に手すりを設け、床材は滑りにくい素材を使用することが推奨されます。
診療科別|クリニック内装の工夫ポイント

診療科によって来院される患者様の特性は大きく異なります。それぞれの診療科に適した内装デザインを採用することで、患者様により良い医療サービスを提供し、心配や不安を感じないようにしていきましょう。ここでは科目ごとの内装ポイントを紹介します。
【内科】汎用性と動線のバランス・感染症対策
内科は幅広い年代の患者が訪れるため、誰にとっても使いやすく親しみやすい空間づくりが求められます。待合室は混雑時期を想定して十分な広さを確保し、長時間の待ち時間でも快適に過ごせるよう、座り心地の良いソファを設置することが重要です。
動線はシンプルでわかりやすく、処置室や検査室への移動がスムーズに行えるレイアウトにしましょう。また、感染症対応として発熱患者用の待機スペースや換気性能の高い空調設備の設置も欠かせません。診察室内は医師と患者様が落ち着いて相談できる空間づくりが大切です。
【小児科】明るさ・安心感・キッズスペース
小児科では、子どもが不安を感じずに過ごせるよう、明るくやさしい色合いや柔らかい素材を用いた内装が好まれます。待合室にはキッズスペースを設け、おもちゃや絵本を配置するなど、親子ともに快適な時間を過ごせる工夫をするようにしましょう。診察室も広めに設計し、保護者と一緒に入室できるようにすることが重要です。
【皮膚科/美容】プライバシー確保と高級感
皮膚科や美容系クリニックでは、患者様のプライバシーへの配慮が欠かせません。待合室の席配置や仕切りで視線をコントロールし、診察室やカウンセリングルームは個室化することで安心感を高めましょう。
特に美容医療の場合は、素材や照明、家具のデザインにもこだわり、清潔感と高級感を両立させることが信頼感につながります。
【歯科】チェア配置・衛生ゾーンの設計
歯科クリニックでは、診療チェアの配置と衛生管理を意識した動線設計がカギとなります。患者様が待機する待合室は明るく開放的な雰囲気とし、歯科特有の不安感を和らげる内装デザインを心がけましょう。
診療チェア間の距離を確保しつつ、プライバシーを守るパーテーションの設置なども効果的です。消毒エリアや技工室の位置は、スタッフの移動が最小限になるよう工夫し、衛生ゾーンと動線を明確に区分することで、スムーズな診療と感染対策を両立できます。
【耳鼻科】吸引や感染対策に強い構成
耳鼻科も小さな子どもから高齢者まで、さまざまな年代の方が頻繁に通う場所です。そのため内装デザインは、どの年代にも愛される、ナチュラルで明るく爽やかな雰囲気をおすすめします。
耳鼻科では吸引処置やネブライザーなどの使用頻度が高く、専用の設備スペースをしっかり確保することが必要です。患者同士の距離が近くなりやすいため、待合室の換気性能や空気清浄設備の導入も検討しましょう。また、発熱外来や感染症患者のための動線分離も、今後は重要な設計要素となります。
【整形外科】広さ・手すり・リハビリスペース
整形外科は比較的高齢者が多く訪問する場所です。手すりの設置や段差解消、滑りにくい床材を採用するなど、安全性に配慮した設計が重要となります。リハビリ機器や処置スペースが必要になるため、ゆとりのある空間設計が求められるでしょう。リハビリ室は動線の延長上に配置し、スムーズな移動ができる構成を目指してください。
【精神科】静かで落ち着いた空間・防音性
精神科では、患者様が安心して過ごせる静かで落ち着いた雰囲気の内装が不可欠です。内装には淡い色合いや木材などの温かみのある素材を使用し、リラックスしやすい環境を整えましょう。カウンセリングルームは完全個室+防音仕様にすることで、プライバシーと安心感を高められます。
【眼科】検査→診察→処置のスムーズな動線設計
眼科では、検査・診察・処置を短時間で効率よく行えるよう、一方通行の動線設計がポイントです。視力検査室や暗室は診察室の近くに配置すること、患者が迷わず移動できるように案内サインを工夫することなどが重要です。また、明るさや眩しさに配慮した照明設計も、視覚に敏感な患者への気配りとして欠かせません。
クリニック内装業者の選び方

理想のクリニックを実現するためには、信頼できる内装業者の選定が重要です。医療施設の内装には特有の知識や技術が必要となるため、選ぶ際に何が必要かを、ここで確認しておきましょう。
医療施設の施工実績を確認
内装業者を選ぶ際は、まず医療施設の施工実績を確認することが大切です。特に開業を予定している診療科の内装工事実績がある業者は、専門的なノウハウを持っている可能性が高いと言えます。
実績を確認する際は、過去の施工例の写真だけでなく、可能であれば実際の施工物件を見学させてもらうことをお勧めします。また、医療法や建築基準法などの法規制に精通しているかどうかも、重要な判断基準です。業者が持つ資格や許可の内容も、実績と合わせて確認するべき点です。
株式会社バイソンでの、医療施設の施工実績はこちらをご覧ください。
アフターフォローの充実度をチェック
内装工事完了後のアフターフォローも、業者選定の重要なポイントです。定期的なメンテナンスや不具合への対応体制が整っているかどうかも話し合いのときに確認しておきましょう。施工保証の内容や期間、補修対応の範囲なども、事前に明確にしておくことが重要です。
また、緊急時の対応体制も重要な確認ポイントとなります。開院後に設備の不具合や修繕が必要になった際の、連絡体制や対応までの時間なども把握しておかなければなりません。医療施設は一般の店舗以上に迅速な対応が求められるため、充実したサポート体制を持つ業者を選びましょう。
見積もり内容の比較ポイント
内装業者の見積もりを比較する際は、単純な価格だけでなく、見積もりの内容を詳細に確認することが大切です。見積もり項目の内訳が明確で、追加費用の可能性がある項目が明示されているかどうかをチェックしましょう。
また、使用する材料や設備の具体的な仕様、工事期間、支払条件なども重要な比較ポイントです。特に医療施設の場合、高額な設備工事が含まれることも多いため、見積もりの妥当性を慎重に判断する必要があります。
よくある質問(FAQ)

クリニックの内装デザインや工事について、よくある質問を3つ紹介します。
Q:クリニックの内装費用の目安は?
クリニックの内装費用は、診療科や規模、設計の内容によって大きく異なります。そのため一概には言えませんが、一般的な目安としては、30坪程度のクリニックで1,000万円〜3,000万円 程度が多いと考えられます。
高級素材を使ったり特殊な設備を導入する場合は、それ以上の費用がかかることもあるでしょう。内装費用には設計費、工事費、設備費が含まれるため、見積もり時には内訳をしっかり確認することが大切です。
Q:設計から完成までどのくらいの期間がかかる?
設計から工事完成までの期間は、通常3ヶ月〜6ヶ月程度 が一般的です。
まず設計・打ち合わせに1〜2ヶ月、その後工事に2〜4ヶ月ほどかかります。行政の許認可手続きも含めると、全体では半年以上かかる場合もあるでしょう。規模や工事の複雑さ、施工会社の体制によって変動しますので、余裕を持ったスケジュール設定をするようにしてください。
Q:途中で内装プランを変更できる?
基本的には、内装工事着手前の設計段階であればプランの変更は可能です。ただし、一度工事が開始してしまうとその後は変更が難しく、追加費用や工期延長が発生することが多いでしょう。
そのため、計画段階で十分に検討・打ち合わせを重ねることがとても大切です。途中変更を最小限に抑えることは、時間やお金の浪費抑制にもつながります。もし変更が必要な場合は、できるだけ早めに施工会社や設計者に相談しましょう。
まとめ
クリニックの内装は、患者様の印象や医療サービスの質に大きく影響する重要な要素です。法令に準拠し、診療科の特性に合わせた適切な内装設計と、信頼できる業者の選定が成功の鍵となります。
株式会社バイソンは、東海4県を中心に豊富な医療施設の施工実績を持ち、店舗内装工事をワンストップで承っています。専門スタッフが医療施設特有の要件を熟知し、開業計画から施工、アフターフォローまで一貫してサポートいたしますので、クリニックの内装でお悩みの際は、ぜひご相談ください。